どんな小さなモノにも住所をあげよう。
- 岡田
- 藤谷さんは整理収納アドバイザーとして、実に様々なケースを扱っていますよね。
- 藤谷
- はい。家族構成やお部屋の様子、悩みは2つとして同じものはありません。ただ、お母さんが子どもに対してしかる時って、たいてい同じ言葉なんです。
- 岡田
- 部屋を片付けなさい?
- 藤谷
- そう、まさにそのセリフです。散らかしっぱなしのオモチャ、本。抜ぎっぱなしの靴下とか。実は、片付けないのではなくて、片付けられないのでは?ということを考えてあげないといけないんですが。
- 岡田
- オモチャや本を置く場所がはっきりと決まっていなくて、お母さんの思い付きでコロコロと場所が変わる。
それでは、子どもが迷ってしまいますね。まず、モノに置き場所をつくってあげないと、部屋は片付けられません。
- 藤谷
- 岡田さんは、収納からリノベーションを考えるという視点で「モノにも住所を」と提唱していますね。
- 岡田
- はい。たとえば、オモチャに”帰る場所”、すなわち住所があれば、迷子にならずに済みます。さらに、その住所がわかりやすいことも大事です。
- 藤谷
- いくら場所を決めても、それが使い勝手の悪い場所では、結局は、その住所は活用されないことになってしまうからですね。
- 岡田
- 子どもが遊ぶ場所、子ども部屋の位置、さらにはリビング等との位置関係を考えた上で、オモチャの住所を決めないといけません。子どもの背の高さやオモチャの量も考えて収納するスペースを決めることが、ポイントになってきます。これは、もちろん家中のモノに対して言えることです。キッチン、お風呂、リビングダイニング、寝室。その全ての空間に置かれているモノの数って、一般的な家族4人暮らしの家庭で、3000~4000個くらいとされていますよね。このことをお客様にお話しすると、みなさん大抵「そんなに?」と驚かれます。
- 藤谷
- もっと多いお宅もあるわけですし。
- 岡田
- その全ての置き場を決める...というとすごく大変なことに思えるかもしれませんが、だからこそ、決めてしまえば逆にものすごく楽。数千個のモノが家の中でいつも迷子...って。そのほうが絶対にしんどいです(笑)
収納にはすごいメリットがある。
- 藤谷
- 私たち整理収納アドバイザーが一戸建やマンションの収納をお手伝いする際に、「ここにもう少しスペースがあったら」とか「この間取りでは片付けにくいはず」と感じるケースがよくあります。
- 岡田
- その点、構造以外は自由度の高いリノベーションだと、動線そのものからプランニングできます。棚のピッチや引き出しの大きさ等も、最適なものを購入すればよいですし、無ければぴったりのものを造作すればいいわけです。
さらに、リノアスは設計と同時に施工もしますから、より希望に沿ったものを提供できる強みがあります。
- 藤谷
- 図面上ではよかったのにいざ出来上がったら暮らしにくかった...ということが、リノアスのリノベーションにはないですよね。
ショールームも、寝室、バスルーム、ウォークインスタイルのクローゼット、そしてリビングが回遊式になっているところが魅力だと思います。廊下を減らして空間も有効に使われていますし。クローゼットといっても、アウターは玄関近くに収納されていて、そこにも場所と動線の双方から考えられた位置決めの法則が生きています。
- 岡田
- 寝室にクローゼットを置いて、服はそこに集約って言う考え方が一般的ですが、それだと花粉や砂ぼこりのついたアウターを寝室に持ち込むリスクもあります。ですから、アウターは玄関付近にセッティングしました。固定観念にとらわれないこと、大事です。暮らしのスタイルや暮らしやすさの定義は、人や家族によって千差万別ですから。
- 藤谷
- 暮らしのスタイルや暮らしやすさの定義が千差万別だというのは、その通りだと思います。
- 岡田
- そうですね。それは、一人ひとり違って当然なはずなのに、販売側の思惑によるお仕着せの間取りや収納ありきで、大勢の方が、そこに無理やり自分の暮らしを当てはめる苦痛を強いられていると思います。というか、そういうもんだ...と疑問を持たない。
- 藤谷
- もちろん収納が、しっかり考えられている物件もありますけれど。それも、あくまでも一般的に、というのが限界です。
- 岡田
- その人、その家族にとって最良か、というと違いますからね。蔵書が沢山ある人、食器集めが趣味の人、あるいは、洋服の量が極端に多い人、とか。それを画一的な平均値の収納で納めること自体に無理がある。
- 藤谷
- 収納って、暮らしの基本なのに、ほぼ、二の次にされますよね。
- 岡田
- 高気密・高断熱、などといった機能にはすごくこだわるのに、収納の大切さがまだまだそこには追いついていないのかな、と感じます。もちろん、藤谷さんのようなアドバイザーの方々の活躍で、収納や片付けることの大切さがクローズアップされてはきていますが。
- 藤谷
- 高気密・高断熱なら四季を通じて温かいとか、最新の設備を導入すると、日々のランニングコストが〇〇円下がるとか。そういうことって想像しやすいんですが、「収納を取り入れた場合、すっきりする以外にどういうメリットがあるの?」という具体的なことを想像しにくいのかもしれません。
- 岡田
- ですね。ただ、数字で言うと、人が一生のうちにモノを探す時間は、統計によると1日10分。それを成人にあてはめると、人生の3680時間、実に150日あまりを探し物に費やしていることになるそうです。リノアスですすめているように、モノに住所を与えてあげると、その150日のロスは確実に減らせます。あと、探したものが見つからないこともありますね。その場合、どこかにあるかもしれないけれど、とりあえず買いに走る、そしたら後日思いもよらない場所から出てきて、結局は同じものをいくつも買ってしまう結果に。
- 藤谷
- それ、結構台所に多いです。本来買わなくていいものを買うので、おサイフも痛くて場所だってとられます。岡田さんが提案するように、一つひとつに住所を決める作業を行っておけば、お金の節約にもつながるのに。
- 岡田
- はい。たとえば、この調味料のストックはここ、と決めてしまえば、必要な時にはそこだけを見る。決めた場所に置かれたストックが減ってきたら買い足せばいい。すごくシンプルです。あと、部屋がすっきり片付いていると、来客が楽しくなるものです。急な来客にも慌てることがないですから。
- 藤谷
- お姑さんが抜き打ちでやってきたとか、ご主人が同僚を連れてきたとか。そんな時にもゆとりでお迎えできますね。
- 岡田
- 家にいる時にもゆっくりと寛げますから、部屋が散らかって居心地悪いから、とりあえずカフェでも行こうか、という現実逃避も減りますよ
- 藤谷
- そうです。本来、自分の家が一番快適で一番好きな空間であって欲しいなって思うんですよね。
人生もリセット&リノベする。
- 藤谷
- 岡田さん率いるリノアスは、リノベーションを考える際に、まず、現状の暮らしのスタイルを見つめることから始めますね
- 岡田
- はい。だからお客様とは本当にいろんな話をします。結構突っ込んだ話もします。夢や憧れは大切ですが、今、抱えている不安は?不満は?といったことも。
- 藤谷
- 現状、すでに何らかの問題を抱えているご家庭もありますね。家を買うとか建てる時って、夫婦や家族それぞれの主張がぶつかり合ったりしますから、かなりのバトルになったりするケースも多々ありますが。
- 岡田
- そういったバトルに対して、しっかりとお話を伺っていくと、収納や動線が原因になっている場合も少なくありません。
- 藤谷
- ご主人の趣味のものが部屋に溢れかえっていて、奥様のものを置く場所が全くない、あるいはその逆とか。そういう日々の我慢の積み重ねがストレスになって、一触即発になっていたり。そこで夫婦それぞれ所有するモノを、それぞれが納得するように仕舞えるようにしてあげると、夫婦喧嘩が収まったとか。子どもがお片付けをすすんでするようになったので、お母さんが毎日笑顔でいられる、とか。
- 岡田
- そのためにも、飾ることを考える前に、まず、整理収納しませんか?とお客様にはお話しします。
- 藤谷
- 整理整頓ではなく、整理収納。ここが重要ですね。
- 岡田
- 整理は混乱しているモノを分類して、いらないものをまず捨てることまでが範囲。そして、整頓は、定位置というか、使いやすいもしくは取り出しやすい場所に配置して整えること。ということは、大前提となる定位置がなければ整頓はできないということに。もちろん、畳んだ洗濯物の定位置がリビングのソファの上では、どう考えても邪魔ですし、見た目も良くない。それはただ置いただけで整頓とは言えません。タオルならタオルの適切な置き場をつくることが、収納の大きな役割です。タオルの枚数によって収納スペースは違ってきますし、色や材質にこだわって見せたい人もいれば隠したい人もいる。そこまでを考えることも重要。そうすれば、自然に空間がすっきりします。
- 藤谷
- 見せる収納と隠す収納のバランスづくりも必要ですね。リノアスのショールームのリビングは壁一面が収納になっていて、そこにほとんどの日用品を収納できるので、開ければ一目瞭然。閉じれば生活感のあるものは全て隠れます。ですから、リビングが常にすっきりしていますね。
- 岡田
- その分面積は取られます。それなのに部屋が広く感じる。
- 藤谷
- そこがリノアスの収納マジックですね。適材適所に収納をたっぷりつくっておくと、あとあと、家具を増やしたり、ボックスを置いたりカゴを置いたり、床にモノを置いたり...ということがなくなって、結果として広々とした空間を確保できるんですよね。そこの部分、このショールームで実感いただきたいですね。
- 岡田
- さらに言えば、空間をすっきりさせることは、イコール自分の頭の中、気持ちを整理することにもつながりますし、夫婦や家族の関係を見直す良い機会になると思います。今、自分が所有しているモノ、そして収納を考えることで、人生をより良い方向に転換していただけたら、と。藤谷さんも同様だと思うのですが、まず過剰なモノを捨てるところからアドバイスします。
- 藤谷
- それがリノアスのリノベーションの素晴らしいところですね。
- 岡田
- モノを持つなということではありません。愛着のあるモノ、普段使わないけれど置いておきたい大切なモノは誰にでもあるものです。ですが、それらを全てため込んでいけば、いつかは許容量に限界が来ます。
本当に、置いておきたいモノは?暮らしに必要なモノは?さらには、これから増えていく可能性のあるモノは?という風に、順序だててゆっくりと考えていくことで、今の自分、今の夫婦、今の家族の現状が見えてきます。目指す未来も。
- 藤谷
- だから、リノアスは「明日をリノベする」と。
- 岡田
- はい。お客様の大切な「明日」をつくっていくわけなので、お客様にもただ受け身ではなく、一緒に考えていただきます。
- 藤谷
- 私たちはお手伝いはできますけれど、継続していくのはお客様ご自身ですから。まず、お客様にやる気になっていただくことが大事ですね。お仕着せでは、収納を変えても、結局は変わらないんです。
というか、いつかは元に戻ってしまう...。
- 岡田
- おっしゃる通りです。収納について、学んでいただくこともリノアスが大事にしている部分です。
あ、学んでいただくって言うと、何だか上から目線に聞こえちゃうんですが、そうではないです。僕自身、収納を知れば知るほど、奥が深いなって感じていまして。ですから、毎回毎回、お客様と一緒になって、考えて、工夫して、つくっていくというスタンス。
だって、楽しいじゃないですか。自分たちでいろいろ考えて創意工夫していくって。その楽しさを実感していただきたいから、ついつい熱くなってしまって(笑)
- 藤谷
- 苦痛ではなく楽しく継続できるように。岡田さんのように、そういった配慮のある提案ができるかできないか、という点も実はプロとして忘れてはならない部分です。
- 岡田
- そこは、整理収納アドバイザーである藤谷さんも同様ですね。とにかく、収納の大切さを知る前と知った後、そのビフォー&アフターで劇的に変わる毎日をお客様に提供したいですよね。
- 藤谷
- はい。リノアスのリノベーションで、収納と動線をしっかりとつくる。
- 岡田
- そして、さらに収納アイデアを藤谷さんに提案していただく。リノアスでは、藤谷さんとタッグを組んで、より使いやすく美しい空間づくりを目指していきます。
きっと、最強のタッグになるのでは!それを、お客様のために役立てていきたいですね。